2012年9月21日金曜日

阿部市長―「神奈川臨調」への危機意識なし[議会傍聴記]


「説明責任を」と言うのみで危機意識に乏しい、と市長を批判

 

9月13日川崎市議会 日本共産党・石川副団長の代表質問傍聴まとめ


―神奈川臨調について―

○質問:神奈川臨調「中間意見」が、県の財源不足を大きく描き出す現実離れの想定をしていることなどを批判。県の補助が、小児医療費助成制度の財源には4分の1(今年度予算で6億円余)含まれており、重度障害者医療費給付費補助事業では22%(63千万円)を占めていることを指摘。これらが削減されれば本市への影響は計り知れないため、神奈川臨調の中止を神奈川県に求めるべき、と市長に求めた。

●答弁:市長は「(臨調が)市町村ヘの単なる負担の転嫁とならないよう、十分な協議を行うとともに、県民ヘの説明責任をしっかりと果たしていただくよう、県に求めてまいりたい」と答弁。

○再質問:石川議員は、重度障害者医療費助成制度について“助成額が毎年増加する課題があるため、制度を安定的に維持する観点から慎重に検討している”と健康福祉局長が述べているように、大きな影響がある。県に臨調の中止をもとめるべき、と再質問した。

●答弁:市長は「現段階では具体的な内容が示されていない」と初回同様の答弁にとどまった。

○再々質問:石川議員は厚木市議会、横須賀市議会で市長・副市長が県の拙速なやり方に対して批判の答弁をしていることを紹介、市長の危機意識が乏しいのは、県が事業をやめたら川崎市もやめるからなのか、と三たび問いただした。

●答弁:市長の答弁はかわらないものだった。

○意見:石川議員は最後に“市民生活に不可欠な補助金やサービスを削減しそのお金を大型開発につぎ込む、という神奈川臨調をすすめる県知事の姿勢を評価し、市民生活より特区構想を優先する市政運営は市民の要求に背くもの、と指摘。「住民の福祉向上という地方自治体の本旨に立ち返るべきだ」と意見を述べた。

 

―ライフイノベーション国際戦略総合特区について―

○質問:「神奈川臨調」で県民生活に欠かせない施設や補助金をすべて廃止しても京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略特区につぎ込む、という黒岩県知事の姿勢について、地方自治体の本旨を大きく逸脱するものではないか、と市長の見解を問いただした。
●答弁:市長は、「京浜臨海部・・・特区」は重視すべき取組であり、そのために必要な投資は評価すべきである、などと述べた。
○再質問:石川議員は、市長が県知事の姿勢を「必要な投資は評価すべき」と答弁したことについて、財団法人神奈川科学技術アカデミーの殿町3丁目への拠点設置に県9月議会で補正予算が計上されていること、その法人の役員名簿に川崎市の経済労働、財政局長が記載されていることを指摘、「際限のない税金投入の受け皿になりかねない」と述べて、今後の研究プロジェクトへの投資の必要性、検討の有無について再度質問した。
●答弁:市長はひきつづき、成長分野への投資や“選択と集中”によるプロジェクト推進は必要、などと述べ、今後の投資計画については答弁しなかった。


2012年9月20日木曜日

「京浜臨海部…国際戦略総合特区」―際限ない税金投入に!?

「京浜臨海部…国際戦略総合特区」にメリットはあるか?―先行した神戸市「医療産業都市構想」は26億円(市の予算)の持ち出し


 
「神奈川臨調」で、県民生活に欠かせない県民利用施設や多くが社会福祉のために使われている補助金をバッサリ削ってまで、資金を投入しようとしている「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」。はたしてそれだけ投入して見返りがあるのか?失敗した神戸市の先行事例を紹介して、見通しのなさを指摘した、川崎市議会での論戦を振り返ってみます。


 

●2月28日川崎市議会 日本共産党・竹間市議団長の代表質問より


京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区についてです。医療分野の新しい産業を興すために、税制優遇や規制緩和を特別に行おうとするものです。再生医療やがんの治療薬などを新たに開発し、それをもとに新しい産業を興すことで雇用がふえ、税収もふやすという計画です。これらによる経済効果を、県や川崎、横浜両市は4年後には単年度で2,955億円と試算、全国への経済波及効果は約5,000億円になると見込んでいるといいます。しかし、これだけの見込みにどれだけの裏づけ、根拠があるというのでしょうか。

同じように先端医療で産業を興そうと取り組んでいる神戸市では、特区に認定されて9年経過していますが、産業化にはつながっていません。神戸市の医療産業都市構想にはこれまで1,500億円、市費300億円投入され、市が委託した野村総研の経済効果予測では、2010年度、税収効果を26億円と見込んでいましたが、神戸市の2011年度の予算では、歳出30億円に対し歳入は4億円で、差し引き26億円の持ち出しになっているとのことでした。

川崎市はこれまで、仮称産学公民連携研究センター整備や実験動物中央研究所のための土地取得に約23億円、今後、インフラ整備などでどれだけ膨らむかわからないわけです。先行している神戸市で見通しが大幅に乖離している事実を見ても、川崎が神戸の二の舞にならない保証はありません。
 

●3月15日同市議会 日本共産党・佐野市議の代表討論より


京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区についてです。経済効果を県、川崎、横浜両市は、5年後には2,955億円と試算、全国への経済波及効果は5,000億円と見込んでいるとのことですが、総務委員会での説明でもその根拠は何もなく、触れ込みどおりに事が成就した場合という仮定の話であることも明らかになりました。さらに、代表質問では、20年後の雇用創出23万人、市場創出額14兆円という試算を出しています
 
しかし、裏づけとなる根拠、資料はほとんどないものです。こうした仮定に仮定を重ねての空想的な数字を掲げること自体、特区構想がまやかしであることをみずから認めているようなものです。神戸市の事例でも、莫大な市費を投入しながら、雇用効果も地域経済効果も想定より大幅に下回っているのみならず、毎年約26億円もの赤字補てんをしている状況で、市民生活向上どころか市財政を圧迫しかねないことが明らかになっています。
 
破綻したFAZ計画の二の舞になる前に、一刻も早くやめるべきことを強く求めておきます。



ーーと、こんな具合です。これからもちょくちょく資料置き場を活用しようかと思います。